今回は伊賀上野。伊賀焼を求めに。
出発の朝、車で行くのに不安がめばえたので、急きょネットでJRのチケットを確保。
宿は前日に抑えておいた。GOTOで35%オフ。
自分の旅は、一か所一目的が原則なので、ついでにあれこれができない。これは性分なので、しょうがない。
伊賀上野はこれで3回目なので、見たいところはない。お茶碗買ったら、さっさと帰る。
これが旅のミッション。
いったんハマった者のサガではある。
JR旅。
あれこれ考えれば、近畿なので私鉄利用もあるだろうが、目的は旅ではないのでめんどくさいのはパス。
10月13日;広島-(新幹線)-京都-(東海道線新快速)-草津-(草津線)-柘植-(関西本線)-伊賀上野-(伊賀鉄道)-上野市
一筋縄ではいかないところが、忍者の里っぽいかもしれない。
京都駅で昼食して旅を再開。
草津線で、甲賀駅を通過する。
小さいころ、忍者ものがはやっていたが、そのころは「コーガ」と発音していた。
イガとコーガとの確執とか、おぬしコーガのものかとか。
もちろん「コーカ」が正しいが、イガに行く旅人の気分を盛り上げてくれる。
乗り換えの柘植駅では、忍者がさりげなく案内してくれる。
柘植で関西本線に乗り換える。
伊賀上野まで、新堂、佐那具と、何だかそれっぽい地名が続く。
伊賀上野駅。
このローカル感は貴重なものだが、・・・駅前にはみごとに何もない。
1番ホームの伊賀鉄道に乗り換える。
だいたい3,40分おきのダイヤで、ほぼ20分待って出発。
上野市駅にはピンクの(くのいち?)。
帰りには乗っていた小さい子たちが、ピースして記念写真を撮っていたので、人気はあるのだろう。平日だったが、それらしき旅人もいたし。
上野市駅は、
このように「忍者市駅 NINJA CITY Sta.」となっておりますぅ~。
市役所には、こんな横断幕が、
とりあえず宿にチェックインして、お茶碗を探しに歩く。
三重県立上野高等学校にはこんな校舎がある。
明治33年築らしい。ぎりぎり19世紀の建築。
以前行った窯元直売所をあれこれ探して、ようやく見つけたが本日休業。
スマホで他の販売所をさがす。便利になったものである。
「さまざまの 事おもひ出す 桜かな」。号は「桃青」と彫ってある。
桃青は芭蕉の芭蕉以前の号。
唐の詩人、李白から、李(スモモ)に及ばず「桃」、白には及ばずまだ「青い」から「桃青」と書いてトウセイ。
「さまざまの事」とは句の成立事情から、藤堂藩主良忠のこととされている。
まだ伊賀にいた時芭蕉は良忠と俳句仲間であったというが、良忠は25で早逝。
そのかつての主君を思い出して、というのが成立事情だが、
桜はじつに、いろんな思い出に関わっているというのが、多くの日本人だろう。
良い思い出、いやな思い出、悲しいこと楽しいこと。
桜にもつ日本人の感慨を、何のひねりもなくぽんと投げ出してくれているのが、この句の良さだと思う。
芭蕉の句で好きな句である。
この碑を過ぎて、昔ながらの構えをした陶器店がある。
そこで購入したのが、
左が、新 歓嗣(あたらし かんじ)作。右が、新 学(あたらし まなぶ)作。
親子なので、よく似ている。歓嗣が父、学が息。
緑色は釉薬ではなく、高温長時間の焼成中に陶土からにじみ出たガラス成分が作り出したものという。
この緑色が魅力的で、渓谷を分け入った中にみつけた流れの淵と思えば、地肌の茶色も岩肌や滝のように見えてくる。
桃山時代にはじまり、いったん途絶えていたのを江戸末に復活したらしい。
織部のような大胆さが、モダンさの中で破調するのを耐えているようで、そこが魅力である。
ちょうど良い持ち重りがあり、手触りもよい。
まあ好きだから褒めるわけで。
だいたい買ってから3年以内に割れるので、見越してふたつ買った。
伊賀訪問はこれで3回目だが、以前買った土味伊賀焼窯元 直売店には定休日の札が置いてあった。
陶器店で尋ねると、自作するので土日の休日しか店を開けないとのこと。
残念ではあったが、あらたな作家さんに出会えてよかった。
さんざ歩き回ってホテルに戻って、食事。
メニューはこれだけ。
冷や奴と、伊賀牛の串カツ。
豆腐は大豆の香りと舌ざわりがよく、さりげなく醤油が美味い。
串カツには田楽味噌がかけてある。
これに生ビールと、燗酒。
京都でとった昼食が思いがけず多く、いつまでも腹が空かなかった。
徳利が二重構造になっていて、中を引き抜くとお湯にひたっていた徳利が出てくる。
酒は「若戎(わかえびす)本醸造」。伊賀上野のお酒。
飲み重りが手ごろで、燗をつけてもべたつかずさわやか。
宿で1000円のクーポンをもらったので、安くあがった。
てなところで、一回で読み切りにするはずだったが、二日目はまたつづく。